灰に沈んだ世界で、火を絶やすな。『Ashen Meridian』は今年最高のサバイバル体験だ
「灰が降る世界で、たき火を守るだけのゲーム」——そう聞いて、正直あまり期待していなかった。しかし『Ashen Meridian』を4人で遊び始めて30分後、筆者たちは風向きの変化に本気で悲鳴を上げていた。これは「火」というたった一つの資源を軸に、サバイバルの緊張感を極限まで研ぎ澄ました作品だ。
すべては「火種」から始まる
舞台は大噴火から3年後の大陸。太陽は灰の雲に遮られ、気温は常に氷点下すれすれ。プレイヤーは火種(エンバー)をランタンに入れて持ち歩き、拠点のたき火と探索先のキャンプを行き来しながら生活圏を広げていく。火が消えれば暖も明かりも調理も失われる。つまり火種の管理が、そのまま生死の管理になる。
秀逸なのは灰嵐(アッシュストーム)の存在だ。定期的に襲来する嵐は視界を奪い、屋外の火を容赦なく消していく。嵐の予兆は風向きと灰の粒度で読み取れるため、慣れてくると「あと10分で来るぞ、薪を運び込め!」という判断が自然にできるようになる。天候を読む力がそのままプレイヤースキルになる設計は見事という他ない。
4人協力で変わる「火のリレー」
ソロでも十分に遊べるが、本作の真価は最大4人の協力プレイにある。火種は分割して持ち運べるため、チームでは自然と役割分担が生まれる——拠点で火を守る「番人」、薪と食料を集める「採集班」、そして新たなキャンプへ火を運ぶ「ランナー」。ランナーが嵐に捕まりランタンの火が消えかけたとき、仲間が中間地点まで火種を持って迎えに走る。この「火のリレー」が成功した瞬間の一体感は、近年の協力ゲームでも屈指のものだ。
正直なところ
弱点も挙げておきたい。まず、序盤のチュートリアルが不親切で、火種の分割方法に気づかないまま数時間を過ごすプレイヤーが少なくない。また、中盤以降は資源収集のループがやや単調になる。大型アップデートでの探索目標の追加に期待したいところだ。それでもSteam評価は「非常に好評」(92%)を維持しており、灰の世界の緊張感がプレイヤーに強く支持されていることは間違いない。